CASE18人材育成を止めない
ために舵をきった
「新入社員研修
オンライン化」
住友商事株式会社SUMITOMO CORPORATION
新入社員への想いが
研修オンライン化の軸となった
ー当初、オンライン研修に対してどのような印象をもっていましたか?
西村:新型コロナウイルスの影響を考慮して、さまざまな案の検討を始めたのが2月の後半でした。オンライン研修については「eラーニング」しかイメージできませんでした。弊社は伝統的に、新入社員研修を大切なイベントと捉える考えが浸透しており、新入社員研修のオンライン化については懐疑的でした。「eラーニング」のようなインプット重視の新入社員研修であれば意味がない、という声も社内にあり、私たちも研修のオンライン化は無理だろう、と思っていました。そのため、当初オンライン研修への期待は低かったです。
ー延期する、という選択肢もあったと思いますが、最終的に貴社は新入社員研修をオンライン化しました。決断にあたり、何が決め手となったのですか?
山田:当初は他社の動向も見守っていました。ただ、結局のところは「私たちは何を大切にするのか」なによりもまず、「新入社員の事を考える」ことが軸になりました。新入社員にとっては一生に一度の機会であり、しっかりとしたスタートを切るためにも4月の研修は大切です。またオンライン化にあたり、社長の決断も後押しとなりました。社長は「平時と変わらず、今年はバーチャルな世界で新入社員を迎えいれよう」、「新型コロナウイルスを理由に、何かを止めてはいけない」と話していました。オンライン化は時間的な制約もあり非常に大きなプレッシャーのかかる大変なものでしたが、心のどこかで「オンラインで出来ることの限界まで挑戦しよう」という気概はあったのかなと思います。
人事サポート部 人材育成チーム
山田 峻大 氏
西村:そうですね、やはり新入社員のことを一番に考えていたと思います。新入社員は、オンラインでの新入社員研修を残念に思うかも、とも考えました。しかし「なにがなんでもオンラインでやる」と社内で決まり、信頼と期待を持たれていることが伝わり、人材開発チームとしては「よし、一肌脱いでやるか」という想いがありました。
ーみなさんの想いには、「進取の精神」(※)をもって時代の変化を先取りしていくという、住友の事業精神と共鳴した印象を受けます。
※住友の事業精神
柴田:「進取の精神」という言葉を意識していたわけではないのですが、オンラインという新しい取り組みに対して「誰もやっていないことをやってやろう」という気持ちはありました。もちろん様々な意見があり、上層部も当初は、新入社員研修のオンライン化は無理だと言っていました。ただ社内でもオンライン化に向けて、覚悟をもったタイミングがありました。それからは皆が同じ方向を向いて、「立ち向かっていった」という感覚があります。もちろん当時は本当に大変で、オンライン化には多くの時間を費やしました。
山あり谷あり、
手探りのオンライン化
ー新入社員研修は、実際にどこまでをオンライン化しましたか?
西村:オフラインで予定していた内容はすべてオンライン化しました。入社式をはじめとした社内パートが3日間あります。そのあとに社外パートがあり、すべてオンライン化しました。さらに新入社員の一体感を醸成するため、新しくプログラムを自分たちで企画しました。企画時期が入社直前だったこともあり、社内に協力を仰ぎ社内講師にもチャレンジしてもらいました。
山田:入社式では、辞令交付とともに社長から一人一人にコメントしてもらいました。オンライン化の企画時点では予定しておらず、私たちからは依頼していなかったのですが、即興で全員分をコメントしてくれました。新人としては「嬉しい」、「モチベーションが高まった」という声をもらっています。
ーオンライン化を進めるにあたり、大変なこともあったと思いますが。
西村:たくさんありました。大変だったことの一つとして、オンラインに対応するためのレクチャーがあります。弊社は以前よりテレワークを導入していることから、オンラインツールへの一定の知見はありましたが、オンライン上でのインタラクティブな研修の実施は初の試みでしたので、改めて全てマニュアル化し、関係各所へインプットしていく作業は大変でした。オンラインツールを使用しながら「どうもはじめまして、ところでそのボタンを押してみてください」というようなやりとりを通じて、レクチャーしましたね。
ー社内ではどのような反応でしたか?
山田:皆さまとてもサポーティブでした。初めてのオンライン化だったので、社内講師として登壇する社員も不安だったと思うのですが、直前まで打合せして、直前の変更なども受け入れてくれました。「それは無理だよ」と言われたことは記憶になくて、「わかりました」「がんばります」と言ってくれる人のほうが圧倒的に多かったです。
新入社員研修のオンライン化が、
重要なマイルストーンに
―新入社員研修をオンライン化したことで、どのような影響がありましたか?
柴田:新入社員研修のオンライン化が、配属後も行われる新入社員育成の重要なマイルストーンになった印象があります。新入社員研修でやろうとしていたことを予定通り、しっかりとやりきった事が、その後の研修や部門での研修へも良い影響を与えています。「新入社員研修をしっかりやったのだから、続く研修もしっかりやらないとね」という意識を生んでいます。とにかく前に進めていく決断をした事が、本当に良かったと思います。振り返ってみても大きなポイントとなったのが入社式と新入社員研修かなと。あらためて、新入社員研修という入り口をしっかりやることは大切なのだと思いました。
人事部長付 人材開発チーム サブリーダー
柴田 亮 氏
ー新入社員研修をオンライン化した手ごたえをもって、他の研修もオンライン化されていると伺っています。
西村:ほぼ全ての研修をオンライン化する予定です。ナショナルスタッフ研修などの、従来は世界中から日本に集めて、行っていた研修に関しても今年度に関しては一部オンラインで実施しています。公募型の研修では、多忙でなかなか参加できなかった方がオンラインで受講していたり、現地駐在員がアメリカから受講しているといったケースがあります。オンラインのメリットですね。
変化する、
新人育成と人事のかかわり
ーオンラインでは、同期間や先輩との繋がりをつくるのが難しかったのではないかと思います。何か工夫された点はありますか?
西村:各部門で座談会やオンライン飲み会が積極的に開催されています。また、私たちとしても繋がりを作るために、例年は行っていない新入社員を集めた座談会を実施しました。
山田:座談会は、指導員や上司とコミュニケーションをとるうえで工夫している点など、ベストプラクティスを共有させ、不安な気持ちを共有し解消し、次のアクションを促す場としてうまく機能したと思います。
人事サポート部 人材育成チーム
西村 奈緒子 氏
ー例年よりも長い期間、新入社員に関わり続ける必要性があるのですね。
西村:そうですね。例年は、配属後に私たちが関わる機会が実はあまり無いです。部門人事担当とは定期的なミーティングが行われますが、それは新入社員に関してのミーティングではありませんでした。しかし今年は部門人事と新入社員に関しての情報連携をより強めています。ミーティングで感じるのは、刻一刻と状況が変化していて、私たちもリアルな現場の声をきかないと何ができるのかまったくわからないということです。
山田:新入社員が何に困っているのかアンケートをとり、指導員に対しては指導員連絡会という私たちが主導して情報交換を行う場をつくりました。さらに、各部門を私たちが行脚しながらヒアリングし、次のうち手をどうしようかと考えています。オフラインだと上司や先輩の背中、所作を見て学べると思います。会社にいれば巻き込むというよりは気づいたら巻き込まれている、というメリットもあったと思います。しかし、在宅勤務がメインの働き方になると、背中をみて学ぶ機会が限定的になることが課題感です。どうやってBeforeコロナの時代よりも主体性をもった新入社員を育成していくのか。そのために何ができるのかという課題感はあり、今後も考え続けていきます。
西村:育成スピードを早めていかなければ、という話もしています。スピードを早めるためには主体性を育むことが大切ですし、このような状況だからといって、人材育成を止めることはありません。
新型コロナウイルスの影響を受けて、社会が多くの変更を余儀なくされている中、軸を持って決断することの重要性を感じさせられました。会社が新入社員のために費やした時間と想いの量は確実に伝わっているのではないか、と思います。
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