CASE06CSRの新しいカタチ
~「交流会」のあるJT国内奨学金~

一般財団法人
ジェイティ奨学財団JT scholarship Foundation

ジェイティ奨学財団

経済的支援だけでなく、
成長機会も提供する

―JT国内大学奨学金の狙いや概要を教えてください。

JT国内大学奨学金は、JTの社会貢献活動の4つの重点分野(社会福祉、文化・芸術、環境保全、被災地域への支援)の社会福祉分野に該当し、一般財団法人 ジェイティ奨学財団が運営しています。

目的は、大きく2つあります。1つは高等教育機会の均等確保。勉強したいという熱意があるが、経済的理由により、進学が困難な学生たちを支援するというもの。もう1つは、将来、多様な分野で彼らの有する才能をいかんなく発揮してもらい、持続可能な社会の発展に寄与するというものです。

JT国内大学奨学金の特徴は、大学在籍中に安心して学業に専念できる十分な給付額としているところです。また「将来多様な分野で活躍する」ためには、大学で学ぶ知識のみではなく、いわゆる人間力が必要だと考えています。この人間力を高めるきっかけとなる場として、交流会を企画しています。

一般財団法人 ジェイティ奨学財団 理事長 小川 千種 氏
一般財団法人 ジェイティ奨学財団 理事長 小川 千種 氏
一般財団法人 ジェイティ奨学財団 理事 正木 健一 氏
一般財団法人 ジェイティ奨学財団 理事 正木 健一 氏

―「交流会」とは具体的にどのような企画なのでしょうか。

交流会は、「ダイバーシティ」「グローバル」「リベラルアーツ」の3つをテーマとして、年に1、2回開催しています。3つのテーマを交流会への参加のみで身につけることは難しいので、まずは各テーマについて「考えるきっかけ」を提供できればと考えました。また、全国から大学、学部、学科が異なる多様なバックグラウンドを持つ学生が集まる交流会で、普段の学生生活では味わえない多くの刺激を受けてほしいと思っています。

先ほど目的として教育機会の均等確保を挙げましたが、このような社会問題を解決する近道はありませんし、実現することは簡単ではありません。しかし、我々の試みが小さくても風穴をあけることになったり、もしかしたら同じことを考えて立ち上がってくれる企業があるかもしれないとも考えています。我々の出来る範囲で社会に対して働きかけようと考えたことも交流会を設けた狙いの一つです。

ダイバーシティ、グローバル、
リベラルアーツを学ぶきっかけ

―交流会について具体的に教えてください。

最初の交流会は、1年生の夏に開催している2泊3日のサマー・セッションです。ここでは、「ダイバーシティ」をテーマに、他人(周りの学生)を知ること、そして他人を通じて自分自身のことを考えることを目的としています。人は、人それぞれ違います。そして人それぞれに良さがあります。足りないことや課題にばかり目を向けるのではなく、すでに持っている良さや未来への想いに目を向けて相互理解を深めることで、新しいことを生みだすポジティブな関係を築くように意図しています。

次は、1年生の春に開催しているスプリング・セッション。日本アスペン研究所の協力を得て「リベラルアーツ」をテーマに、古典を読んで学生同士が対話します。対話には正解がありません。高校・大学での試験とは違い、問題がありその答えを考える、また先生に教えてもらう。ではなく、参加した学生自身が、古典の著者、学生同士、そして自分自身と対話をすることで、自分自身の考えをさらに深めていくことが狙いです。

一般財団法人 ジェイティ奨学財団

2年生の夏には、2度目のサマー・セッションに参加します。春に取り組んだ「リベラルアーツ」を2日間かけてじっくり深く行います。事前のテーマとなる古典の読み込みから当日の対話に至るまで、春と比べてさらに考えを深めることになります。

3年生の夏は「グローバル」がテーマです。日本で活躍しても世界の事を知らないと活躍しているとは言えない時代。広く世界を知るために、国・地域による文化や考え方の違いについて学び、周りの学生とディスカッションすることで「グローバルな時代において、将来、日本の大学で学んだ社会人として、何をすべきか、どうすればグローバルな世界で生きていけるか」を考えるきっかけにしてもらいたいと思っています。そして、最後の4年目は、修了式という位置づけで卒業前のタイミングに実施します。

ネットワーキングを加速させる
“場のデザイン”

―交流会がはじまり今年で4年目。
学生の関係や様子はどのように変わっていくのでしょうか。

1年生の夏、特にその初日は本当によそよそしい。しかしセッションを通じて周りの学生を知っていくと、以前から友人だったように打ち解けて、普段大学では話さないことを、自然と話せる仲間になっていきます。それ以降の交流会では、旧友に再会するような関係になります。特に初めて参加する場合は、夏休み期間中に呼び出されて気乗りしない学生もいるかもしれませんが、参加してみると非常に楽しい。様々な刺激を受ける「いい場所」だと思ってもらえているのではないでしょうか。

一般財団法人 ジェイティ奨学財団
一般財団法人 ジェイティ奨学財団

―「いい場所」と思ってもらえることが交流会を成功させる原動力になっていそうです。

最初に学生の繋がりをつくることはとても大切で、同時に難しい。ここはウィル・シードさんのプログラムが大きな役割をはたしています。また、ウィル・シードさんにはプログラムの企画・運営に加え、我々JTと学生の間に立ち、社会人の先輩として時には厳しく、またあるときには学生の相談相手となってもらうこともあります。我々は、立場上親しみを持ちながらも学生とはいい距離感を保たなければいけない。そういった意味では、ウィル・シードさんが我々と学生の間に入ることで、学生と学生のつながりだけではなく、我々と学生を繋ぐことにも一役買っていただいています。

ある学生が「社会人ってこんなにキラキラと働いているんですね」と話してくれましたが、学生にとって良いロールモデルになり、社会人や働くということを知る機会にもなっているようです。

今年のサマー・セッションでは、3学年あわせて120名以上の学生が参加しました。ウィル・シードさんと協力することで、一人ひとりと真摯に丁寧に向き合うことができ、「いい場所」作りをできていると思います。

学年を超えて
日本中にネットワークができる

―参加されている奨学生の反応はいかがでしょうか。

「様々な大学・様々な学部の人たちと会って話すことで、大学とは違った刺激をうけられる」という声は本当に多い。交流会以外でも、学年を超えて学生同士でやり取りをしているようです。決して、高尚な学問の話ばかりではないでしょうが、同じJT奨学生の仲間として切磋琢磨できる関係になっていると思います。

ある時、交流会後に学生から「JTの奨学金だからこそ交流会があって、ここに参加できたことは本当に良かった」と言われたのは嬉しかったです。「奨学金の給付だけではなく、交流会で学び、刺激を受けたことで、大学に戻った後も高い意識をもって行動できるようになった」と言われたこともありました。我々の目の届かない普段の学生生活でも自分で高い志を持って取り組んでもらえているようでうれしく思いました。

一般財団法人 ジェイティ奨学財団 事務局主任 日江井 啓太 氏
一般財団法人 ジェイティ奨学財団 事務局主任 日江井 啓太 氏

―年に1、2回の交流会という機会があるからこそ、JTと学生に接点が生まれ、その思いが伝わっていくのかもしれませんね。

交流会の都度、目的を伝えているので多少はあるかもしれません。もちろん、元々、一所懸命に勉強をする、努力できる学生たちに奨学金を給付しているということもあるでしょう。いずれにしても、交流会への参加が普段の学生生活とは違った刺激を受け、人として成長するきっかけとなることで、将来その才能を如何なく発揮してもらうことにつながればと思います。

最上級生が今年で4年生になりました。一部は大学院に進みますが、卒業して就職する学生も多くいます。大学で学んだそれぞれの専門性に加えて、「ダイバーシティ」に価値を認め、「グローバル」な視野を持ち、「リベラルアーツ」を兼ね備えた立派な社会人として活躍してもらいたいと思います。

また、志を高く持ち続けるとともに、奨学金の給付を受けたことに対し「将来社会にどう還元するか、社会の役に立つためには何ができるか」自主的に考え続けられる社会人になってもらいたいと思っています。

卒業後の活躍が本当に楽しみです。

これからも毎年1年生が入ってきますから、卒業した人たちと現役の大学生たちで何かしら繋がりをもたせて、新たな刺激が生まれればいいなと思いますし、そういうコミュニティに発展させていきたいと考えています。

一般財団法人 ジェイティ奨学財団

経済的支援に加えて、成長支援の機会として交流会を設けている一般財団法人 ジェイティ奨学財団の取り組みはとてもユニークです。
仮に数日のセッションだとしても、それが未来を考えるきっかけになり、意志を育む機会になる。「未来への意志の種まき」を社名とする私たちにとっても象徴的な取り組みです。
インタビューでは触れられていない宿泊・交通の手配や個々人への細やかな配慮なども含め、同財団の未来に向けた人材育成の本気さに学ぶところが多くあると改めて感じました。

一般財団法人 ジェイティ奨学財団
http://www.jt-scholarship.or.jp/

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