CASE13若手の声ではじまった
キャリア開発の取り組み

株式会社サンゲツSangetsu Corporation

インタビュー風景

働き方の見直しからはじまった
「サンゲツ大解剖」

ー「サンゲツ大解剖」というユニークな名前がつく取り組みについて、まずはその位置づけや概要を教えてください。

坂川:全社での取り組みである「働き方見直しワーキンググループ」の中で、若手社員が「サンゲツの現状をどう変えたいか」という意見をまとめ、役員にぶつけました。そこで立ち上がった取り組みが「サンゲツ大解剖」です。当社では、1年に1度、異動申告を出す機会があるのですが、「どこの部署でどんな仕事をしているのか」「どのようなスキルが求められるのか」「どのようなキャリアの方がいるのか」よくわからないという声が寄せられていました。そこで、サンゲツの仕事を分解してみようというアイデアが生まれ、「サンゲツ大解剖」に繋がったのです。

株式会社サンゲツ 人事部 人材開発課 リーダー 杉田 洋輔 氏
株式会社サンゲツ 人事部 人材開発課 リーダー
杉田 洋輔 氏

当初は1週間や1ヶ月間、現業とは違う部署でしっかりと業務に取り組むことも考えましたが、まずは半日強くらいの期間、各部署にて業務を体験する形ではじめました。ただし、単に体験して終わりではなく、その後に共有会を設け、参加者全員がその体験を持ち寄って、今後自分たちが歩むであろうキャリアについてイメージを膨らませる機会もつくりました。

杉田:私は11年間営業を経験し、今春、人事部に異動してきました。サンゲツには九州から北海道まで拠点があるため、なかなか本部のことが見えにくい。どのような部署があるのか、なんとなくは知っていますが、具体的に何をしているのかわかりません。自分自身もそうでしたが、地方で働いている社員ほど、自分のキャリアを描きにくいとも言えます。

最近、若手社員からは「キャリアを描きたい」という要望が増えてきています。今後のキャリアを見据えながら働きたいという意欲が強くなってきているので、その道筋を示す情報が提供されるこの「サンゲツ大解剖」のような取り組みは本当に有効だと思いました。

ポイントは業務を体感できる
社内インターン形式

ー自分たちでやってみたいと声が挙がった取り組みですが、参加された方々の反応はいかがでしたか。

坂川:参加者から「普段から興味はあったけど実際の業務がわからなかったので、業務内容を具体的に知れて良かった」という声は多くありました。その点、当初の目的は達成できたと感じています。一方、時間が限られていたため表面的な情報に留まってしまったという声もありました。

また、受け入れた職場側からは「若手のキャリアに貢献できると思ってやってみたが、これでよかったのかわからなかった」という戸惑いもありました。初めての取り組みなので、当然の悩みかもしれません。

それ以外にも、普段PRする機会がない部署にとっては自部署を知ってもらう機会になりました。例えば財務経理部には、経済学部の出身者や簿記を学んだ経験があるなど専門性をもっていなければいけないという印象が強くあります。しかし財務経理部としては、いろんなバックグラウンドの人に来てほしい。実際に業務を経験してもらうことで、よりリアルな職場を知ってもらえました。

今後は、期間の延長や、受け入れ人数を減らすことも検討します。年間を通して社内インターンを運用することも一案です。前回はある期間を定めて全部署で同時にやりましたが、通年であれば参加人数を増やせますし、受け入れ部署に余裕があるタイミングで受け入れてもらえるようになるかもしれません。

インタビュー風景

ボトムアップの経営・
ボトムアップの人材育成

ーこの取り組みには、人事が現場から挙がった声を受けとめ実現していく姿勢を強く感じます。

杉田:社長が変わり、社内の雰囲気が変わったことは大きいと思います。これまでは、現場からあげられた声が実現されることを実感したことがあまりありませんでした。

坂川:現社長の安田はボトムアップを大切にしています。例えば、社長が全国をまわって社員と対話する「対話集会」という機会があります。現場から上がってくる声に対して、経営としてできることは経営がやっていくし、現場でできることは現場でやってほしいというジャッジがなされます。今回の「サンゲツ大解剖」も、「働き方見直しワーキンググループ」で提言された内容に対して、経営層が「ぜひやってみなさい」と後押しし、人事として形にしたというものでした。

杉田:人事にきてみると「人事は現場の意見を吸い上げてやっているんだな」ということも分かりました。言い換えると、それが現場には伝わっていないということは課題だと思います。現場の声を集めて施策を講じているのですが、意外と現場には伝わっておらず「人事が勝手にやっているんでしょ」となりがちなのです。

坂川:「サンゲツ大解剖」という社内インターンも現場の声から始まったので、「研修だからやる」「やらなきゃいけないからやっている」ではなく、「よい機会」ととらえてほしい。やる気のある人は本当に学びたいし、新しい経験をしたいはずです。逆にそうは思っていない人がいることも事実です。そこで当社では、最近、自律型というか、従来の全員平等にやるというスタンスを少しずつ変えてきています。

会社が大きく変わると、
人材に求められるものも変わる

ー「サンゲツ大解剖」も含め、今回のキャリア形成というテーマでは、「自分で生み出していく」ことも求められていました。

坂川:「サンゲツ大解剖」に参加する対象者は、異動や昇格が現実味を帯びてくる世代です。その時に受動的にならないでほしいという思いから、「サンゲツの業務を知る」「現状の自分を知る」「この先、求められていることを知る」機会を設けました。大解剖自体は「業務を知る」という企画でしたが、さらに「自分の能力の現状」と「この先求められていく能力を知る」ためにACT20という診断ツールも活用しました。

この診断ツールでは上司と部下での認識のギャップが明らかになります。ある部署では診断結果を部内で展開し、みんなで対話をしたそうです。日頃、上司・部下間の認識のギャップについてなかなか話すこともないので、職場環境や業務内容を考える良い機会になったと聞いています。

また、人事として現実的な課題も目の当たりにしました。「この先求められていく能力」として「未知のことに挑戦する」という要素が含まれているのですが、上司からは「挑戦する機会をつくりたいとは思っているが、現状の業務では難しい」という声が多く寄せられました。人材育成という観点だけではなく、マネジメントや評価などの色々な要素を交えながら、現場で上司と共に環境づくりに取り組む必要があると改めて感じています。

ー会社経営という意味でも、組織自体が変化している状況も、どんどん未知のものにチャレンジしていくことを目指しているようにも感じます。

杉田:かつてはどちらかというと社員のマインドも受け身でした。社長からはそれを「変えてほしい」「どんどん変えていいんだよ」というメッセージを感じます。対話集会は経営が現場の声を吸い上げる、という面もありますが、同時に社長が社員に話をして意識改革を図る機会にもなっています。

坂川:対話集会の中でも社長が「やってみたらいい」「ダメだった時に反省して修正すればいい」という表現をされていましたし、今は新しいことに取り組みやすい環境にあります。過去3年間の中期経営計画では基盤づくりが掲げられていました。基盤が整い、現在の中期経営計画は、社員の意識改革や能力開発に焦点が移ってきています。会社が大きく変わった後、人に求めるものも変わる。まさに今、そのタームに入っているのだと思います。

株式会社サンゲツ 人事部 人材開発課 坂川 慎之助 氏
株式会社サンゲツ 人事部 人材開発課
坂川 慎之助 氏

ー人にフォーカスしていく上で、今年・来年、人事としての意気込み、どういうことに力を入れていきたいと考えられていますか。

杉田:OJT、現場教育です。全体教育はありますが、営業なら営業、ショールームならショールームという職能教育はほとんどできていませんでした。まず営業でスタートし、来期以降はプロ人材の育成を目指し、全社へ広げていきます。

現在、どういった研修をやっているのか、今後どういった研修や経験が必要なのか、人事本位で進めるのではなく現場の声を聞きながら一緒に取り組んでいきたいと思っています。どういうスキルをつけられるというのを見える化できれば、異動やOJTにあたってどういった勉強をすればよいかを考えられるようになります。自分でここの部署に行ってこういう経験を積みたいということになれば、キャリアも描きやすくなってくるはずです。

坂川:人事としては、現場のノウハウを教えてもらって、それを言語化するお手伝い・体系を整えるお手伝いなどをする。人事のノウハウと現場のノウハウを組み合わせて形にし、実際に運営に乗せていきたいと考えています。

インタビュー風景

経営が「現場の実」を大事にされていること、そして人事がその間をつないでいることが感じられました。同時に人事のスタンスとして、「選択は一人ひとりがするもの。そのために必要な情報は提供する。」という自律型人材を志向して取り組んでいることがうかがえました。

岡谷鋼機

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CASE28三井住友信託銀行

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CASE26東京都教育庁 起業創業ラボ

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