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異業種・越境学習プログラム『GIFT Essentials』体験者インタビュー

価値を共創するリーダーシップ育成にむけた、社会課題解決型の異業種・越境学習プログラム『GIFT』。より多くの方に機会を提供したいという思いから、濃縮版『GIFT Essentials』もスタートしました。ご参加いただいたカゴメ株式会社の皆さまの体験者インタビューをおおくりします。

カゴメ株式会社の福原大典さま、堀江健一さま、佐藤洸史さまに、NPOが普段から取り組んでいる課題・テーマに対して異業種チームで向き合い、フィールドワークやワークショップを通じて課題設定と解決策立案を行うプログラム『GIFT Essentials』への参加理由や、越境体験からの気づきを伺いました。

 


『GIFT Essentials』に期待していたこと

ー普段の業務内容と、『GIFT Essentials』に参加したきっかけを教えてください。

堀江氏:経営企画室の広報グループで企業広報を担当しています。過去に業務で異業種の方とやりとりする経験があったのですが、社外の皆さんから大いに刺激を受けて、それによって価値が高まることを感じました。

『GIFT Essentials』は越境型プログラムということで、異業種の皆さんと一つの課題に取り組めることと、そうした関わりの中でリーダーシップを磨く経験を積みたいという考えから参加を決めました。それから、正解のない課題に対するデザイン思考やフレームワークを学べることにも惹かれました。

 

福原氏:私は経営企画室のサステナビリティグループで、カゴメのサステナビリティ戦略の策定や推進に携わっています。サステナビリティというと、環境問題、人権やダイバーシティといったCSRのほか、社会のニーズや問題解決によって自社の価値を創造するCSVにも目を向ける必要があります。後者について、カゴメがビジネスとして何ができるかを考えるために、まずは自分で社会課題に向き合ってみたいと思っていました。

もう一つ、社会課題解決に向けて、NPOなどのステークホルダーと協働する必要がありますが、それも実際に体験したいという思いもありました。『GIFT Essentials』は、まさにやってみたかったことがどちらもできるとあって参加しました。

 

佐藤氏:東北支店で営業を担当しています。担当業務は全うしたうえで、自分の市場価値を上げるために、仕事以外にも学ぶ機会が欲しいと思っていました。これまでも先輩にすすめてもらった本を月に何冊も読み、業務内で実践に移したりもしましたが、新しい刺激を受けたいと思っていたタイミングで社内でこのプログラムの公募があり、挑戦しました。

リアルな社会課題に真正面から向き合って

ープログラムパートナーはLearning for All(LFA)。子どもの貧困問題に取り組むNPO法人です。食や農業、環境など、カゴメの事業領域とは関係がないようにも思えるテーマでした。

福原氏:正直、どのような社会課題に取り組むか、自分でテーマを選びたいという思いもありました。ただ、参加目的の一つだったNPOとの協働プロセスを知ることができましたし、どのような社会課題であれ、NPOの方や異業種のメンバーとアライアンスを組むことは共通のフォーマットとして絶対にあるので、そこを体験できたことは有意義でした。

 

堀江氏:企業としては、やはり自社の事業との関連が強い社会課題の解決から取り組むべきだとは思っています。しかし今回、あえて事業領域から離れた相対的貧困というテーマに向き合ったことで、企業人としてでなく、一個人として、現代には解決すべき課題がいくつもあることを強く感じました。今回、研修というかたちではありますが、会社としては直接的に取り組みにくいテーマにもコミットできたことは良かったです。

 

佐藤氏:子どもの貧困は触れたことのないテーマだったので、刺激を受けましたし、非常に興味深かったです。それと、子どもに限らないことですが、貧困問題の解決は、実は人びとの健康で豊かな食生活に貢献するというカゴメのビジョンともリンクするところがあるのです。今までにないアプローチで食や豊かさについて考えることができましたし、良い学びの機会となりました。

 

ーLFAに伴走し、どのようなことを感じましたか?

堀江氏:もともと社会課題に対して、日々の通常業務の中では当事者意識を持つ機会がありませんでした。今回、LFAの方とのやりとりを通じて同じ目線に立てたように感じます。

 

佐藤氏:LFAの皆さんの熱量の高さや考えの深さに触れ、自分自身の仕事に対する考えがまだまだ浅いと反省しました。ただ、自信を持てたこともありました。私は日々の営業活動で相手の声を聞くことを何よりも大切にしてきたのですが、それはNPOの世界でも同じ。この部分は、LFAの方や異業種チームのメンバーからも高く評価していただけて、自分の持ち味を再確認できました。

 

福原氏:社会課題をビジネスで解決しようとするとき、売上や利益を上げることだけに終始してはならないことを実感しました。貧困も、環境問題も、数年で解決できるものではありません。長期で続けるための仕掛けや指標の開発が必要ですし、すぐにはお金にならなくても、長い目で見ると企業の成長につながり、かつリターンも出すにはどうすべきかまで考えなければならないと思いました。

自分や社内の常識が通じないメンバーとの共創

ー異業種のメンバーとの活動は、いかがでしたか?

佐藤氏:社内の常識が通じなかったり、逆に自社の強みに気付いたりと、発見がいくつもありました。例えば、うちの会社の社員は普段からコミュニケーションがよく取れていて、それがチームワークの高さにもつながっています。ただ、協調性が高いがゆえに、ミーティングなどで反対意見を出しにくいところがあるかもしれません。今回、自分のチームでは、年次を問わずに意見がばんばん飛び交っていて、自分と異なる意見にハッと気付かされることがあったり、そこから深掘りできたりして、とても新鮮でした。

私のチームはグランドルールとして、自己開示をすること、思ったことはどんどん言うと決めていました。ニックネームで呼び合うというルールもありました。小さなことかもしれませんが、それがあったから早くから自分をさらけ出して意見交換できましたし、結果的にチームの熱量も上がりました。

 

福原氏:最初のうちは、お互いにどこまで踏み込んでいいのだろうかと迷いました。仕事の作法やカルチャー、課題解決に対するアプローチの仕方など、何もかもが違う者同士で本当にまとまるのか、とも。ただ、ディスカッションを重ねて各人のキャラクターや互いの企業のバックグラウンドへの理解が深まったあたりから、一気にスピードが上がっていく手応えがありました。相互理解ができて、初めて本題にフルパワーで向かうことができるのだと実感しました。

 

堀江氏:福原さんの感想とも通じるのですが、自社メンバー同士のプロジェクトよりも、チーム内の協働意識を高める難しさを感じました。特に社会課題に立ち向かうには、チームの誰かが頑張ればいいわけでなく、全員の強みやリソースを総動員していかなければ良いアウトプットは出ないし、解決もできません。

今回は業務ではなく研修、しかも異業種のチーム。モチベーションも、普段の働き方や業務負担も人によって違います。個人的には、チームの一体感を高められるようにと意識していたのですが、自分だけで突っ走ってしまったりと、葛藤もありました。それでも熱量を絶やさず、粘り強くメンバーに声を掛けたり、行動量を落とさずに継続していけば、やがてはメンバーの気持ちに作用して、チーム全体の士気を高められるのだと感じました。

「答えがない問い」に向き合った経験はスキル獲得よりも尊い

ー『GIFT Essentials』は、どのような方におすすめしたいですか?

佐藤氏:同じ職種を長くやっていると、外を知る機会があまりないと思うので、こうしたプログラムは価値観ががらりと変わるきっかけになるのではないでしょうか。それから、若年層で刺激を受けたいという方にもおすすめしたいです。例えば、入社して3年ぐらいを過ぎ、業務に慣れて気持ちに余裕が出てきた方などです。

 

福原氏:私も若手の方にすすめたいです。「社会にインパクトを与えるような仕事をしたい」と、高い志を持って入社しても、そうした仕事がすぐにできるわけではありません。日々の業務を務めるうち、入社当初に抱いていた志がいつしかすり減ってしまうこともあるかもしれません。越境して社会課題に直面し、熱意を持ち続けるモチベーションにしてもらいたいです。

 

堀江氏:若手以外でも、社会課題に興味や関心があるけれど、どのように貢献したらいいかが分からない方にぴったりのプログラムだと感じました。私自身、まさにそういった思いもあって参加しましたが、「自分ごと」として課題を捉えられるようになりました。社会課題に対し、自分のスキルや経験が少なからず役立つのだと実感できたことも大きな収穫でした。

『GIFT Essentials』を終えて

ーあらためて、皆さんにとって『GIFT Essentials』は、どのような体験になりましたか?

佐藤氏:ひとことで言うなら「新しい自分と出会える体験」。自分たちの常識が通用しないという気付きも含め、新たな価値観や学びが得られました。

 

堀江氏:まとめると「No pain, no gain, 感謝」かなと。これまでに参加してきたどの研修よりも大変で、苦い経験もしたいっぽうで、最もエキサイティングで得たものも多くありました。社会課題に向き合い続けているLFAの方でさえ「(社会課題を)真の意味で解決することはなかなかできない」とおっしゃっていたのが印象的で、正解が一つではないものに向き合っていくには、ぐっと一歩踏み込む勇気や覚悟が大事なのだと改めて感じました。今回、このプログラムを通じて挑戦できたことは得難いものとなりました。

 

福原氏:「どのような力が身についたか?」「この経験がいかに役立つか?」と問われても具体的に言語化できないような、非常に感覚的なプログラムだったことは事実です。ただ、確実に言えることは、数値やスキルなどの分かりやすい尺度だけで解決できない困難な課題や抽象的な物事に向き合うときのマインドや思考力はかなり磨かれました。あらゆる業務の底力になると信じています。

 

ー貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。

 

※ご所属は取材当時のものです

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