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- 2023.07.18
- グローバル
【参加者の声】「海外越境赴任」研修
新型コロナウイルスで海外渡航がしづらかったこの3年間でグローバル人材育成にはどのような変化があったのでしょうか。また、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが2023年5月から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられたことにより、どのような動きがみられていくのでしょうか。年間200社以上の企業人事とコミュニケーションをとるウィル・シード感じる機微・潮流をお伝えします
「異文化との出会い」「異業種×異組織」「成果コミット」
海外越境赴任研修を経験した4名に、どのような体験だったのか、そして、そこで得たものは何だったのか、お話をお伺いしました。
※29歳~32歳の社会人歴5年目~7年目社員
4人が参加した海外越境赴任についての詳細は【コチラ】から!
Q.派遣期間中、気持ちが大きく揺さぶられた出来事は何でしたか?
A:大学時代にはバックパッカーをしたこともあって海外には慣れていたのですが、コロナ後初の海外。搭乗予定時刻にまだチェックインカウンターにいたときは焦りました。入国審査に何時間もかかって、空港に到着してGrabをつかまえようと思ったら、クレジットカードのミスが出てアプリが使えず…。出だし早々、かなり焦りました。
B:むしろ、そういうカオスが、「海外に来た!」と実感でき最初からテンション上がりました。
C:最初の1週間は、現状把握の週で、金曜日にそれを踏まえて一次提案をしたのですが、先方が期待していた点抑えられておらず、もう一回やり直しと言われました。日本の業務で、再提出とか言われることはなく、自分のできなさを痛感しましたね。何年かぶりに落ち込んで、感情的にも、これで終わり…どうやって気持ちを持ち直すか、週末にいろいろ考えました。
D:私は、逆算して実行フェーズに多くの時間を残すためには、最初の3日間が勝負だと思ってました。かなり意気込んで、いろいろ経営者の人に質問もぶつけてみたのですが、「Youtube動画撮影できる?」「動画編集できる?」「テロップ付けできる?」と聞かれること聞かれること、全部「NO(やったことない)」で、英語ですし、日本人ではないベトナム人の彼は単純に「やったことあるか?」という質問だったと思うのですが、なにも自分はできない…と受け取ってしまって落ち込みましたね。
Q.どんなミッション/アサインで動いていたのですか?
A:中級層(決して高い所得ではない)に対する英語教育ベンチャーだったのですが、定量的なKPIが与えられていました。SNSのフォロワーを200獲得のような形で。ただ、やり方は自由なので提案してほしいという感じです。
B:消費財の販売をしている企業でした。私は、売上目標に向けたセールスファネルの説明があって、数週間で売り上げまでいけたら花マル。最低でも、新規顧客からに認知獲得100というKPIがありました。同じく、達成に向けたやり方は自由で、自分で考えたアイデアをチームにぶつけて意見をもらって…進めてほしいと言われていました。
C:高所得者向けの幼稚園に行きました。定量的KPIもありましたが、顧客満足度を上げるためのイベントを3つ提案してほしい、そのために20人の既存顧客にインタビューをしてほしいとも言われました。
Q.結果は?成果にはつながりましたか?
D:正直、KPIは達成できませんでした。動画撮影も編集もできない、では何で貢献できるのだろうと必死で考えました。英語の塾だったのですが、事前に調べて、教育熱が高く教育マーケットが大きいベトナムと思っていましたが、ホーチミンの中でも少し所得が低いエリアにあって、同じ都市の中でも細分化されていて、地域格差を体感しました。街の雰囲気も他の区とは明らかに違っていました。親が働くのに忙しかったり、値段だけで塾を選ばざるを得ない子供たちにも、質の高い授業コンテンツをと思って、講師と一緒に考えたり、授業に参加したりしました。集客の方法は、SNSマーケティングが全てではなく、コンテンツの質が根本にあるので、コンテンツのブラッシュアップという点では貢献できたと思います。
C:すべてのミッションのKPIが達成できたわけではないのですが、20人の既存顧客インタビューとイベント企画はできました。イベント企画は、自分が考えた「七夕イベント」をベトナム人スタッフに全て分担して準備してもらって実行をするという大掛かりなモノでした。ベトナム人にとっては、七夕やお祭りはイメージが沸かないので、イメージの共有から始めて、具体的に何の準備をしてほしいのか指示を出していく。しかもそれを1週間足らずで実施するのは本当に大変でした。しかし、ベトナム人スタッフたちが私のイメージの方向性にピッタリ合う形で改良を加えていて、それを見たときには感動しました。普段は、主体的にというよりトップダウンの雰囲気が強い組織だと思っていたのですが、私の七夕イベントの思いにも賛同してくれて、彼女たちが主体的に動いてくれました。
A:私はベンチャー家具メーカーだったんですが、顧客にブランド認知をしてもらうために、「DIY女子」をコンセプトに提案をしました。日本だと100円ショップの製品でいろいろなモノを作れて、それがかわいくてインスタグラムをバズらせていたのに着想を得て、実際にベトナムのインテリア、雑貨ショップも何軒も回って、店員さんに顧客のふりをして売れ筋を聞いたりしながら、コンセプトを固めていきました。Facebookで反応をくれそうなグループを見つけて、そこにアンケートを投げたりもしました。
B:私も最終的なKPI達成できなかったのですが、ターゲットのセグメンテーションを提案できました。有害物質を使っていない洗剤を売っていたのですが、一般的な洗剤の3倍価格なので、高所得者をターゲットにすることは決まっていて。逆に言うとそれ以外は何もターゲティングされていなかったのです。最初、いろいろ動いてみたものの絶対にこのペースだとKPIには到達しないと焦りました。でも、途中の振り返りセッションで、「このMissionが出たくらいなので、企業が困っていることがあるはず。それは何か?」と問われて、目の前のKPIで頭がいっぱいだったことに気づきました。企業が抱える課題は何か、そのKPIは適切なのか、そこから考えて提案することも成果だと今は思っています。
Q.社会人人生で体験したインパクトある出来事を10としたときのこの経験は?
C:【11】言葉が通じない、共通でシェアしている文化や考え方・慣習が少ない人を相手に、自分のイメージを共有し、イメージ通りのものを作る経験。しかも、何をやるかも自由。今までは、与えられた仕事をやっていたのだと痛感しました。自分で考えて周りに働きかけることで、ベトナム人スタッフが動いてくれて、顧客が感動してくれて、こんなにもインパクトを与えられということが日本で仕事してきた以上の経験でした。
A:【6~7】日本に戻ってきた直後は10を超えていたと思います。大きなインパクトがありました。外国人である自分がベトナム人の20代にウケる家具・インテリアコンセプトを提案して、経営者に高く評価されて実際にビジネスが動いた経験。かけがえのない経験だったと思います。今は新たなチャレンジ中。あのときは、自分の提案を経営者がOKと言ってくれれば前に進んだのだと客観的に思っていましたが、今は、自分の企画を表明するだけではなく、チームメンバーの賛同を得られるか、彼ら・彼女らが動いてくれるかまで考えて進める仕事をしています。
一人でやっているビジネス。テキストベースで出ているタスクの裏にある社長の思いを探ればできるかもしれませんが、日本に帰って来てチームで働くと、ステイクホルダーの想いを把握して進めるのは難しいと痛感する日々です。ベトナムでの経験を経て、新たなチャレンジに突入中ということで、6~7かなと思います。
最後に…セミナーのお知らせ
8月1日(火)14時~15時に「派遣者のリアルな声から学ぶ、「海外越境」の事例と効果」というテーマのオンラインセミナーを開催致します。
本コラムで紹介した内容を整理してご紹介させて頂きますので、ご興味ある方は是非【コチラ】からお申込み下さい。