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- 2020.09.28
- レポート
オンライン研修で「学生から社会人への切り替え」を実現
前回コラムでお伝えした通り、多くの企業が新入社員研修ではオフライン実施を望んでいました。新型コロナウイルスの懸念もあり、来年度の新入社員研修をオフライン実施で決めきれない現在、オンラインでどのように「学生から社会人への切り替え」を行うか、を考えていきたいと思います。
今年度新型コロナウイルスの影響により予定していたオフライン研修を中止し、オンライン研修に切り替えた企業に今年の成果や課題を聞きました。「社会人への切り替えが例年通りできたかはわからない、不安である」という回答を多く耳にしています。
来年の新入社員研修をオフライン実施にすると決めきれない現在、オンライン実施を想定し、「学生から社会人への切り替え」ができる体制・施策を検討する必要性を感じている企業も多いのではないでしょうか。
「学生から社会人への切り替え」を阻む壁
なぜオンライン施策では「学生から社会人への切り替え」が難しいのか。大きく影響しているのが、受講する環境が「プライベート空間」になるという構造的な変化にあると考えます。例年であれば、会社や研修会場に通勤し、同じ会社で働く同期とともに研修を受講します。また、研修時間が終わり、休憩時間に入ったとしても、そこはあくまでオフィシャルな空間です。プライベート空間はほとんどない、というのがオフライン実施でした。
しかし、オンライン実施ではPCの画面というとても限られた空間のみがオフィシャルな場です。e-Learning、 Webinarなどが終わると自宅という「プライベート空間」にすぐに戻れる環境に置かれていました。常にオフィシャルな環境に身を置いている例年の集合研修と、こまめにプライベート空間に戻れるオンライン研修では、社会人モードでいる時間に大きな差があると考えます。またオフライン研修では、本来は研修会場に集まることで自ずと生まれるはずであった人事担当者や先輩・同期とのコミュニケーションがありました。そして、周囲の様子から感じとり、見て知る、見て学ぶ、といったいわば「場の情報性」が減少することも「学生から社会人への切り替え」を阻む要素となります。
「学生から社会人への切り替え」には何が必要なのか
社会人への切り替えを阻んでいるのがプライベート空間にありますが、その環境自体を抜本的に変えることは簡単ではありません。では「学生気分」のまま新入社員研修を受け続け、「学生から社会人への切り替え」がなされないのではないか、という懸念を払拭するためには何が必要なのでしょうか。
ウィル・シードは、オンラインだからこそ「社会・組織」を感じる機会を用意することが必要であると考えました。プライベート空間では実感しにくいが、実際は社会の一員として見られ方が変わっており、組織の一員となります。それを実感しないまま、あらゆるビジネススキルを学習しても、「自分の状況を捉えて、その状況下で最適な行動を考え行動する」ことは生み出されにくいです。以上を踏まえて、人事担当者が考える具体的な施策案には何があるのでしょうか。
- 会社で働くイメージを持たせるために先輩社員との接点を作る
- プロとして見られる意識を持たせるために社外の人からの見られ方を知る機会を作る
- 組織の所属を実感させるために託された仕事のつながりや影響を実感する機会を作る
他にも考えられる施策はありますが、ここでは代表的なものをあげてみました。
私たちが考えるアプローチ
これまでの要素を踏まえ、研修会社として提供できる施策は何か。ウィル・シードでは、新入社員研修の早い段階で「オンラインの仕事経験を提供する」という考えに至りました。
「仕事経験」とは「仕事の感覚を体感する」ことを意味します。実際の仕事のシーンを体感することで、仕事において必要とされる基準、姿勢、スキルなどを理解することはもちろん。一人のプロとして社外から仕事を依頼される、上司とともに仕事を行う、などの経験から自らの発言や行動が組織の仕事に影響している感覚を実感します。また、自分と同じ業務を行う同期・周囲の存在を感じる機会を取り入れることで、集団に所属している実感を得てもらいます。
具体的には1.5日間社会人モードで仕事を行う機会を設けることで、副次的には以下のような効果も期待できます。
- 社会人への切り替えを促進
- 同時並行で進むオンラインのe-Learning、 Webinarへの受講姿勢の変化
- 「学習のための学習」から「仕事のための学習」への意識の変化
「仕事のための学習」であることをわかった上で、その後の新入社員研修期間を過ごすことは、オンラインの学びにおける効果を高め、配属にむけての準備がより整うと考えます。
ウィル・シードが考えるオンラインプログラムについては弊社セミナーでもご紹介しております。実際の進行イメージに沿って、具体的な学習ポイントについてご説明いたしますので、ご興味のある方は、ぜひご参加ください。