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オンライン研修報告│Deep End Discussion(1)

緊急事態宣言の発令後、「受講生の学びを止めない」という意志の下、予定されていた集合研修をオンライン化しています。本プログラムでの受講生の様子を紹介すると共に、オンライン研修での学びを最大化するための方策を紹介していきます

「Deep End Discussion (DED)」とは、日本語訳すると「谷底に突き落とす」という意味です。その名の通り、受講生が冷や汗をかきながら、多国籍の外国人とビジネストピックについてDiscussionし、その後に外国人及び日本人のアセッサーからフィードバックを受けるという受講生にとって刺激が大きいプログラムです。一見、語学力強化の施策と感じられるかもしれませんが、総合力が問われるのが本プログラムの特長です。(以下、本プログラム特徴)

1.グローバルビジネス意識

世界で取り上げられている課題に関して、各国の見解を把握しているか、自分の意見があるか

2.アサーティブコミュニケーションとリーダーシップ

相手の意見に耳を傾けながらも、自分の意見を主張し、チームの意見をまとめることができるか

3.基本的な英語力

聞く・伝えるができるか

 

Discussionテーマは、外国人でも日本人でも情報格差の少ないモノを選びます。(以下、テーマ例)

  • 10年後に流行するビジネスは何か?
  • 成功しているビジネスとは何か?
  • 注目すべきCSR活動     など

正解のない壮大なテーマについては、受講生が事前準備を行った上で、複数の多国籍メンバーとの議論に臨みます。

1.「全ての国が高齢化社会を迎えてはいない」一蹴された高田さん

高田さん(仮称)(TOEIC800)のテーマは「10年後流行するビジネスは何か?」というものでした。高田さんなりに準備を入念に行い、高齢化社会到来に伴って必要となるサービスをいくつも調べ、スクリプトを作り、練習した上で臨みました。「労働人口の減少が経済成長に及ぼす影響は大きい」と高田さんが話を切り出した瞬間、「どの国の話をしているの?インドの人口は増え続けていますよ」と言われました。その瞬間、高田さんのロジックは崩れ落ち、何を言われても「Wow, I didn’t know that」を繰り返すことに。フィードバックセッションでは、「日本や自分の知っている国々のみを“世界”と捉えている」「サハラ以南アフリカの人口は、2050年までに倍増すると言われていますし、今後経済成長を迎える新興国の平均年齢は20代後半から30代」と客観的事実に基づく手厳しいフィードバックが続きました。

2.「利益だけがビジネス成功の定義か?」前提を問われた野澤さん

「成功するビジネス」についてディスカッションをした野澤さん(仮称)は「成功の定義は?」との質問に「利益をあげること」と答えました。コンゴ共和国出身のメンバーから「利益をあげることだけが成功なのか?社会に良い影響やインパクトを生み出せて初めて成功なのではないか?」と突っ込まれ、頭が真っ白に。日本にCSRという言葉があり、自社でもCSR専門の部署が活動していることは知っていました。しかし、日々の業務の中では、「いくら売り上げをあげるか」、「いかにコストをカットできるか」、ということが頭を占めていたのは確かです。自社のビジネスが、世界の問題を解決するのにどれほど貢献できているか、まで思考を巡らせることはできていませんでした。また、「成功=高い利益」というロジックで事例を準備していた野澤さんは、世界で解決すべき優先課題、それを効率的にビジネスとして取り組む企業がディスカッションの中心となった時、何も発言できなくなってしまったのです。

3. 「なぜ、そのCSR活動をしているのか?」答えに窮した横山さん

イラン、カナダ、コンゴ出身の外国人参加者達とCSRについてディスカッションをした際、「あなたの会社ではなぜそのような活動をCSRとして行っているのですか?」という質問に「?」となった横山さん(仮称)。「企業の社会的責任なので環境保護に関する取り組みや、災害時にこんな支援をしていますが…」と答えるのが精一杯でした。外国人参加者たちは、自国や世界の企業がどういう目的でどのようなCSR活動をしているかで議論が盛り上がっていく中、「英語力の問題も大いにあるけれど、これって日本語で聞かれてもたぶん答えられなかったよな・・・」と感じたそうです。何気なく使っている言葉に対して、意味を分かっているつもりでおり、かつ「なぜそれを自社がやっているのか」、「その活動にどんな意味があるのか」までを深く考えたこともなかったことに気づき、日本語で答えられないことを英語で答えられるはずがないと痛感した横山さんでした。

 

高田さん、野澤さん、横山さんのDEDセッション。これが、将来のビジネスパートナーとのフリーディスカッションであるとしたらどうでしょうか?知識・見識のないビジネスパーソンだと思われてしまってもおかしくありません。高田さんに足りなったのは、英語力ではなく、物事をグローバルに考える視野だったのです。

次回は、Deep End Discussion (DED)をオンライン化する上でのポイントをご紹介します。

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