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海外トレーニー経験者の声②

海外トレーニー制度でどのように成長していくのか。トレーニー経験者の声をご紹介します。

海外トレーニー制度でどのような体験や気づきを得て成長していくのか。経験者の声をご紹介します。
お話ししてくれた方:サントリースピリッツ株式会社 赤穂 厳 氏

前回のお話は【こちら

挫折したからこそ気づいた、自分に足りなかったもの

トレーニー時代には海外戦略の部門も経験しました。ある戦略製品を南米で委託製造し、販路を拡大するプロジェクトに参加。メンバーの一人として実際に現地を訪れる機会をいただき、委託先候補の企業の幹部や担当者との打ち合わせに加わったものの、まったく貢献できなかった。このとき、はじめて大きな挫折を味わいました。

プロジェクトを進めていく上では、製造に販売、マーケティング、人事、法務など、限られた期間で同時にさまざまな物事を決定していかなければなりません。しかし、自分には知識も経験も圧倒的に足りず、何もできなかった。相手にしてみたら、物足りなさを感じていたに違いありません。

経営の視点を身につけるために、日本への帰国を決意

当時の私に欠けていたもの。それをひとことで言うならば、経営の視点です。トレーニー前は経理部門にいたこともあり、数字を常に間近に見ていましたし、管理会計や原価計算にも携わっていました。しかし、いわゆる機能部署としての業務でしたから、事業の立場になったことがなかった。数字の裏にはどのような活動があって、誰の、どのような意思決定があり、それを実現するにはどの材料が必要なのかといった、経営全体を見渡す視点がすっぽりと抜けていたことに気づきました。

自分に足りないものを理解できたことは、逆にいいインプットにもなりましたし、この先、どのようにキャリアを積んでいきたいかを考える機会にもなりました。基本的に期間修了後は日本に帰任するトレーニー制度ですが、派遣先での人件費負担のもと駐在員として現地に残留したケースもありましたので、私にも海外駐在希望を出すという選択肢はありました。実際、そのままニュージーランドで働いた方が、グローバルな感覚や言語はより身についたと思いますが、ビジネスパーソンとして自分に足りなかった経営の視点は、日本で母国語で学んだ方が絶対に伸びると私は考えました。そこで、トレーニー期間修了前に実施する人事部門とのキャリアビジョン面談では、意志を込めて帰国後は事業部門に、しかも経営を俯瞰できるポジションを希望しました。そしてサントリースピリッツの企画部門という、希望通りのところに配属されました。

1年間のトレーニー経験では、海外の現場を間近に見られたり、グローバルビジネスの視点に立てたりと、日本ではできないことを色々とさせていただき、気づきも得られました。例えば製造部門では、日本は設備の水準が高く、ムダやロスが本当に少ない。それでも発生するごくわずかな製造不良をどれだけゼロに近づけていくかが焦点になっていますが、ニュージーランドをはじめ、海外では全く状況が異なります。設備は十分ではないし、人手も多くはありません。単純に日本と同じ設備を整えようとすると、コストがかかりすぎて競争に勝てなくなってしまう。つまり、ローカル基準でどうしていくかを考えることがカギになるのだと感じています。それぞれの場所でいかにベストを尽くすか、どこに最善の策があるかを見つける。そうした考えを持てるようになったことは、大きな収穫でした。

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